不妊症について

  1. 不妊症(infertility)とは
  2. 妊娠のメカニズム
  3. 不妊の検査計画
  4. 排卵の自己判定方法

1.不妊症(infertility)とは

1)不妊症の定義

不妊とは「正常な性生活を営んでいるにもかかわらず、一定期間以上経ても妊娠の成立をみない状態」と 定義されます。
一般的に、正常性機能をもったカップルにおいて、避妊しなければ統計学的上1年間で約80%、2年間で90%が 妊娠します。すなわち、2年以内に大多数が妊娠に至ります。 したがって、一般的には、 2年以上経ても妊娠しない場合を「不妊症」として治療を開始するのが通常であります。
しかしながら、明らかな不妊原因が存在する場合には、2年以内でも不妊症とされます。 また、治療開始の時期は、少産少子ならびに出産時年齢が高くなっている昨今の現状を考えるに一定期間(2年間) にこだわる必要はないと思われます。
なお、妊娠するものの流・早産や死産によって生児を得られない状態を不育症として区別することがあります。

2)不妊症の分類

  1. 原発性不妊症と続発性不妊症
    a) 原発性不妊症(primary infertility): 妊娠歴からみたときに、今まで全く妊娠したことがない場合。
    b) 続発性不妊症(secondary infertility): 以前に妊娠しその後妊娠しない場合。児の有無は問わない。
  2. 不妊原因が夫婦のいずれに存在するかによって
    a) 女性不妊症
    b) 男性不妊症    と分類する。

3)不妊の原因と頻度

  1. 日本における出生児数0の夫婦は約10%。
  2. 不妊の原因を表に示します。女性因子で多いのは、卵管因子や内分泌因子です。 現時点で不妊原因のわからない不妊、すなわち原因不明不妊(unexplained infertility)もみられるが、 今後、各種検査法の発達により別の因子に分類されうることになるでしょう。
不妊因子 原因
内分泌因子 主に、視床下部・下垂体・卵巣系の異常による排卵障害や、黄体機能不全による場合など。
卵管因子 卵管内での受精障害や受精卵の通過障害。クラミジア卵管炎や子宮内膜症にみられる。
頚管因子 頚管粘液の量の低下や粘稠度が高くなる場合や頚管粘液による免疫学的異常。
子宮因子 子宮筋腫や子宮奇形などの器質的、 あるいは黄体機能不全による機能的子宮内膜の異常で着床が障害される場合。
免疫学的因子 抗精子抗体陽性例や子宮内膜症など。
男性因子 精子産生障害や射精障害。
社会的因子 仕事の関係上性交のタイミングが会わない、sexless coupleなど。
原因不明不妊
(unexplained infertility)
現段階で女性因子・男性因子ともに不妊原因が見いだせない場合。

加齢と妊孕能
女性の生殖能は、年齢と共に低下してくる。特に、40歳をこえると不妊治療をしても妊娠困難となることが多い。 加齢による妊孕能低下の原因は、子宮自体が原因ではなくて卵子の受精能の質的低下によるものである。 したがって、年齢が高ければ早期の不妊治療が好ましい。

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2.妊娠のメカニズム

1) 妊娠するための4つの条件

不妊治療にあたって、まず、妊娠のメカニズムを把握することが重要でです。 妊娠するためには4つの条件があります。
すなわち、

妊娠するための4つの条件

  1. 卵巣から成熟した卵子が排出される。(排卵
  2. 卵管内で卵子と精子が出会う。(卵管の疎通性
  3. 成熟した受精卵がえられる。(受精
  4. 受精卵が子宮内膜に侵入する。(着床

が必要で、そのなかの1つでも障害された場合には正常の妊娠は成立しない。

2)妊娠が成立する期間について


基本的な考え方
・精子の寿命→約3日
・卵子の寿命→約0.5〜1日

妊娠するためには、精子が生きている時に卵子と出会わなければならない。 したがって、(c)(f)のパターンでは妊娠しない。

月経周期28日として、そのうちの約4日間しか妊娠可能な時期はない。

ただし、精子の中には5〜7日間、またはそれ以上生きるものもあり。 そうすると、妊娠可能な期間は延びてします。 (生理中のSEXでも妊娠することがある理由)

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3.不妊の検査計画

妊娠のメカニズムに留意しながら、基礎体温をもとにして検査計画をたてます。 不妊因子はひとつのみとは限らないので、スクリーニング検査として図のごとくの検査をおこなう。 また、精液検査も不可欠な検査項目である。通常、検査がひととおり終了するのに約2ヶ月(2周期)はかかります。

不妊症一般検査一覧表(不妊検査)

月経期 低温期 排卵期 高温期 特殊検査
ホルモン採血
(day3〜7)
子宮卵管造影法 頚管粘液検査 ホルモン採血
(黄体期10日頃)
染色体検査
LH,FSH,PRL,E2,P,T   Huhner test E2,P 腹腔鏡検査
LH-RHテスト LHサージの検出 子宮内膜日付診 卵管鏡検査
精液検査       抗精子抗体
        子宮鏡検査

1)基礎体温 (BBT,Basal body temperature)

不妊治療において、不可欠な検査法です。排卵があるか、妊娠のタイミングはあっているかなど、チェックします。 不妊治療の日記と思って下さい。

(1)基礎体温とは

熟睡しているとき、内蔵の働きが最も静かな状態のときの体温のこと。月経を有する婦人では、 月経周期の前半は主にエストロゲンが、後半(排卵後)は主にプロゲステロンが分泌されるが、 このうちプロゲステロンには、子宮内膜増殖作用の他に体温を上げる作用があるので、 月経周期の後半は前半よりも高温になる。

(2)測定法

熟睡中の体温を自分で計ることはできないので、朝、目が覚めたとき、まだ体を動かす前の、 熟睡時に最も近い状態の体温を測定する。専用の婦人体温計で口腔舌下の体温を測定します。

(3)評価法

エストロゲン分泌が優位にある卵胞期には、体温は連日低温を示す時期であるところから低温期であるといい、 それの示す曲線を低温相と表現する。 排卵後黄体から分泌される黄体ホルモンが体温調節中枢に作用し、体温は正常の排卵では約0.4℃の上昇がある。 高温期間は黄体の寿命を反映し14±2日間続く。その期間は高温期で、曲線状は高温相である。 排卵前後に低温相と高温相との2つの相を識別できる曲線は、2相性であると表現する。

低温相と高温相の境界は、個人差があるが約36.7℃である。

(4)基礎体温でわかること

  • 妊娠しやすい時期の推定(排卵日の予測・排卵の有無)
  • 黄体機能の診断
  • 予定月経の推定
  • 自然流産の予知・予防 
  • 出産予定日

1.正常周期(28日型)のBBT

2.月経周期が60日型の人のBBT:

3.無月経(排卵がない)のBBT:月経がみられない。

4.妊娠している人のBBT:月経は止まっており、高温相が持続している。

2)ホルモン採血

ルーチンの検査で、卵巣機能を調べるために採血をします。

3)子宮卵管造影法

4)頚管粘液検査

・フーナーテスト

5)精液検査

不妊の原因は、決して女性のみだけとは限りません。女性の不妊の原因をいろいろ検査したがわからず、 後日、ご主人の精子の数が少なくてこれが不妊原因であった、ということもありえます。 したがって、この「精液検査」はとても大切な検査です。

  1. 精液の正常値
  2. 検査方法

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4.排卵の自己判定方法

排卵が近いかどうかを自己診断することは、少しむずかしいと思います。ただ、「排卵日をしりたいけど、病院には行きたくない。」という方もおいででしょう。 そういう場合には、

調べることがら
1 ちつの分泌物  排卵日が近づいてくると、子宮の入り口から粘液が増えてきます。
ちょうど、赤ちゃんのよだれのように透明で、粘っこい分泌物です。
これが増えてくると、排卵が近づいてきたというサインです。
2 基礎体温(BBT) BBTのむずかしいところは、測定した日以降のことはわかない、ということです。
低温相から体温が上がったら排卵とみなして良いでしょう。
3 尿を用いた排卵日判定法 薬局に行くと、排卵診断薬があります。自己診断法の中ではこれが一番確実でしょう。 (インターネットでも販売しております。)
欠点は、排卵のあとにも陽性とでることです。

の3つを組み合わせると、排卵日が近づいているのかわかります。 ただし、正確に知るには、産婦人科で卵巣の発育を計測してもらうのが一番確実です。

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